写真は磐梯熱海駅の入口である。
ステンレスの手すりが三本あるが真ん中の手すりが上にも下にも長く伸びている。当初は三本とも同じ長さであった。ところがある事情で真ん中の手すりだけを継ぎ足して伸ばしたのである。
昭和61年秋、今をさかのぼる事23年。昭和天皇が最後となる旅行をこの「岩代熱海」の地を望まれたのです。一力旅館に宿泊され、一力旅館から磐梯熱海駅まで自動車に乗られ駅に降り、真ん中の手すりにつかまって階段をお登りになる予定なのですが、その時の手すりが短くては申し訳ないと伸ばしたのがこの真ん中の長い手すりなのです。わたしはこの工事をしていた事を覚えているので間違いございません。
さて当日、一力旅館から磐梯熱海駅までは人、人、人でびっしり、町始まって以来の人出でした。やがて天皇陛下を乗せた車は目の前を通り過ぎて行きました。私は隣に居たAさんに「こんな近くで見れてよかったですね」と声をかけました。Aさんは「とても頭を上げる事が出来なかった」と涙声で語ったのです。ちなみにAさんは昭和初めの生まれです。
その事に私は気を取られ天皇陛下が手すりにつかまったかどうかは確認できませんでした。