きらくやになってから激闘奮闘1800日

きらくやに生まれ変わって5年。その2です。

第2回、食事とサービスの押売りに気が付いた。

  前号では日本人の横並び意識を捨てよう、と言った。 「きらくや」は通常旅館とどう違うかを説明したい。 きらくやには旅館に付き物の客室係り、板前が居ないのである。 夕食が料金に含まれていないからだ。 紅葉館の頃、よくお見えになるお客様から 「私はそんなに食べ切れない、量を少なくして料金を安くしてくれないか」 と言われた。旅館の儲けは良い料理を沢山付け、サービスをして高い料金を頂くところにある。 そのお客様だけを少ない料理には出来ない。 いっそのこと、旅館から夕食を無くしてしまったらどうだろうかと考えた。

  元々宴会の料理は食べられずに下がって来る事が多かった。 宴会の様子を思い浮かべて頂ければ気が付く。 乾杯を終えて一箸手を付けるとグラスを持って上座に挨拶に行く。 そして指しつ指されつ、を繰り返し自分の席に戻ると今度は先方からこちらの席に。 とても折角の出来たてを食べる事など出来ない。 そのうち、「それではこの辺で中締めにしましょう」と料理も半ばで宴席を切り上げる。

  宴会の後片付けを手伝うと分かるがコップはビールがなみなみ、 料理も半分は手を付けて居ない。それを残飯入れに空ける。 料理が残飯に変わる瞬間だ。 世界では沢山の難民が食うや食わずの生活をしているのに日本では作った料理を食べないで捨てている。